おれの名前は井上ヒロキ。尾道生まれ、尾道育ちの高校一年生。いたずら好きの勉強嫌い。勉強してるより、カメラをのぞいている方が楽しいに決まってる。おれのママは、おれの顔をみれば「勉強々々」とやかましいけど、やっと受験勉強から解放されたんだ。もう少し、のんびりさせてもらいたいよ。ホント!
 ところで、君にだけおれのマドンナを紹介しようか。といっても、やっと手に入れた望遠レンズのフレームの中だけのあこがれのマドンナなんだ。チョットさびし気にピアノをひく素敵な横顔。おれは、いつの日からか、彼女を“さびしんぼう”と呼ぶようになったんだ。彼女を見つめているだけで胸がキューンとなって、とってもいい気持だ。
 そんなおれの前に、ある日、ひょっこり、一人の女の子が現れた、その子は、どこかで見た様な気がするけど、どこの誰だか、さっぱり思い出せない。ダブダブの服に、ピエロみたいな顔をして、おれの顔を見ては、にいっと笑う。いきなりおれの部屋に現れて、テストブックをひっちゃぶり、ママのスキを狙って、エスケープを手助けしてくれたと思うと、急にいなくなってしまうんだ。
 さあ、それから、事あるごとに、このへんて子がおれの前に現れる。

ものがたり

ママはノイローゼ気味になっちゃうし、おれも何がどうなっているのか皆目分らない。 ただ、このへんて子がどういうわけか、おれのママのことを自分のことのようによく知っているんだ。
 そんなある日、おれは、その子に名前を聞いてみた。「私、さびしんぼう」だっていう。

 おどろいたね。なんと“さびしんぼう”がふたりになっちゃった。
 
 その後、おれは、ふとしたことで、ファインダーの中のマドンナと知り合いになれたんだ。橘百合子。となりの女子高校に通 う、同じ高校一年生だって。おれのこと前から知っていたなんて言ってくれて。もう最高! それだけで、毎日がルンルンさ。
 ただ‥‥‥もう一人の“さびしんぼう”あのピエロみたいな顔がおれの頭の片隅を占領してはなれないんだ。チョット可愛いかな? なんて思ったりして。
 お正月になって、ママの高校時代の同級生の雨野テルエというおばさんがやってきた。  おばさんにそっくりの娘、ユキミという女の子も一緒だ。ユキミと二人でおれの部屋に入ると、そこにまた、ピエロの“さびしんぼう”がいた。そしてユキミのことをテルエと呼ぶのだ。「違う」と言うユキミに、くってかかり、ユキミはとうとう泣き出してしまった。
 そこに現われたユキミのママに、おれのママまで加わって、訳の分らない大喧嘩が始まってしまった。もう“さびしんぼう”のおかげで、井上家はパニック状態。本当にこの“さびしんぼう”の正体は誰なんた! そしてどこからやって来たんだろう? いったいこれからどうなることやら、先が思いやられますね‥‥‥。
(パンフレットから原文のまま引用)

初回劇場公開パンフレットのストーリー紹介文は、ヒロキの一人称で書かれているのだが
セリフ回しが劇中とあまりシンクロしているように思えず

どうも本人になり切れていないところはご愛嬌。


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映画『さびしんぼう』(c)東宝・アミューズ

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